インドで産出される墓石の種類は、高品質ですが、全てではありません!
インド産出石材の歴史は古く、中国産の石材が流通する前から、日本に輸入されて使われています。
国産材や中国材と比べて、吸水率が低く密度が高く、磨くほどに美しく輝き、艶持ちの良い経年変化に強い石が多いです。
グレー系で代表的なアーバングレー、インド銀河、バングレー、緑系のM1HをはじめとするM1~M18シリーズ、SR、黒御影のクンナム、PAN、MU、カラフルなニューインペリアルレッド、マハマブルー等、目移りするほど美しい御影石の宝庫で、そのどれもが高品質です。
昭和に建立された墓石でも、その美しさを今でも維持しています。
国産材を使用しての墓石は高額になるために、国産墓石は少数派の支持になって来ました。
安さを求めて中国材が大きなシェアを占める中、
日本の石では高すぎる!
安さにも魅力があるが、せっかくだからいい石を使いたい!
少しだけ予算に、余裕のある方に支持されたのが、インド産の御影石です。
最初に上げた墓石材の経年変化には実績がありますので、「インド材はいいらしいね!」とお客様からも聞ける様になりました。
知識もなく外注丸投げの石材店、仏壇店や葬儀社の、定番のセールストークが、「インド材はいいですよ!インドなら安心です!」と売り込んでいるのが聞こえるようです。
後継者不足で、国内生産が殆ど出来なくなった現在では、墓石の加工の90%近くを中国に依存しています。
日本の石もインドの石も採掘場から港へ、船で中国の港へ、中国の港から工場への物流費がかかりますから、中国材に比べて、どうしても高額になります。
価格は、日本の石を高プライスとして、中国の石が低プライスから中プライスぐらいです。
インドの石の価格ゾーンは、中プライスから高プライスの下ぐらいでしょうかね!
最もこれは原石価格だけのお話しで、墓石の販売価格で考えたら、それほど大きな違いにはなりません!
ここで注意して頂きたいのが、値段は値段だけの物!
いい物はそれなりの値段になるといった考えでは無いでしょうか?
インド材でも最初にご紹介した石材は高品質ですが、シーラグレー、カラハリ等の石は吸水率も高く変色しやすいので、必ずしもインド材だから大丈夫では無いのです。
人気のM1Hもナガレがあり、ニューインペリアルレッドも、赤では無くピンクに見える石でつくられている墓石を観ることが増えました。
インド材が儲かると考えた業者が、実績のあるクンナムやアーバングレーによく似た名前で、新石種を販売している事が増えました。
中国材では値段が通らないので、安いインド材を使用して、少しでも高そうなものを安くして、販売競争に勝ちたいという考えでしょうね!
安くつくって高く売るのが商売の鉄則ですが、美しく高品質で信頼出来た石材まで、信用を失ってしまう事に、懸念を感じずにはいられません!
実は今回M1Hがご希望のお客様に、サンプルを持参して訪問したのですが、何冊も積んであるカタログと、15枚くらいあった各社のM1Hのサンプルの数には、驚きましたね!
余程この綺麗な緑の石を、気に入られたのでしょうね!
いやはや!真剣と言っていいのか、マジメと申し上げた方がいいものか?どの石屋も仏壇店も、自分の持ってきたサンプルこそが、本物とか一番いい石とか言うものですから、お客さんは分から無くなっておられましたね!
「HPで観ましたが、どれもM1Hでしょうか?」
「ハァ?」正直鑑定に来たわけでは無いのですが?と内心思いましたが、お客様は真剣なので拝見することにしました。
どれもM1Hですよ!と言いそうになりましたが、1枚だけ違う石が混じっていました。
「これだけ違いますが、後は本物です。これ石だけかなり緑が薄いでしょ!このあたりのM1Hと石目が似ていますが、新M10として流通し始めた石です。性質は分かりませんが、値段はかなり安いです。
石目が似ていて緑っぽいので、M1Hと勘違いされたんじゃないですか?」とお返事しておきました。
M1Hは、色目や石目が丁場の場所で随分違い石です。
今回緑の強い石をご希望でしたので、サンプルをカットしてお持ちしましたが、ご希望があれば探しますので、先にお見積もりをさせて頂いて、石材店を決めくださいとお願いしました。
「他にお尋ねになる事はありますか?」と申し上げると、石のナガレのご質問がありました。
「ナガレは出しませんから安心してください!」とセールスするお店と「この石は、ナガレが入っても仕方がないです」と言う会社があったようです。
歩留まりの話をされたので、かなり勉強はされているんでしょうね!
何度かブログでは書いていますが、M1Hのブロックには、何かしらのナガレは入っています。
僅かなナガレもかわして加工するのは、難しいですね!
前者の営業さんとは、ナガレの良し悪しの見解の相違が有るでしょうが、 完全にかわすのは、デザインにもよりますが、かなり歩留まりを悪くしても難しい石です。
後者の営業さんのコメントに関しては、販売価格が分から無いので何とも言えません!
少しでもお値打ちに作ってあげたい石材店かもしれませんからね!
この問題は、作り手と買い手の妥協点の相違に、販売店の売りたい思惑が絡んでいますので、どれが正しいとはいえません!
私の場合は、竿石は絶対ですが、正面は出来るだけ交わしてもらって、正面以外は目立つナガレで無ければ通しています。
それなら歩留まりにも小さな影響なので、お客さんのお気持ちを優先しながら、お財布の方も気を使いながら検品の基準にしています。
自分が観て嫌な物は、施主さんが観ても嫌だろうと思うからです。
妥協点の見解の相違だけは、それぞれの感じ方で違うので、難しいですが、お客様と石材店が、よく話すという事では無いでしょうかね!
墓石が永くその美しさを保つ加工や壊れない事(耐震施工)なんて当たり前の話ですが、石の性質のご説明もしながらご相談させていただいております。
もちろんインド材は高品質の石が多いですが、安心できる中国材もお薦めしながら、予算の比較をしながら、お墓づくりをされることをお薦めしています。
何よりですが、石や加工、施工に詳しくて、お墓づくりをサポートしてくれる石材店選びが大切です。
相見積もりの仕方や見積書の注意点、反則例等をご参考にされてください。
はこちらです。