墓石の事故があると胸が痛くなります!
この業界で仕事をしていて、こんなニュースを聞くと言葉が無いです!
今回は古い墓石のようですが、新規建立でも「如何なものか?」と思える墓石が、最近目に付くようになりました。
仕事が欲しい石材店が、安くつくるためには何でもあり、お客様の言うことなら何でも聞いてしまっていないですかね!
構造や強度を知らないままに、営業マンとお客様が、安さだけを追求すると、本来安全なはずの墓石が、危険な建造物になってしまいます。
才数(石材使用量)が少なければ、安くなるのは確かなのですが、それだけじゃ無いんですよね!
以前、「墓石の値段を少しでも安くつくりたいので、才単価を教えてください!」と、墓石の才単価をおたずねになるお客様がいらっしゃいました。
才単価は、墓石の予算を検討するには、便利な仕様でもありますが、墓石の種類や大きさで変わってしまいます。
石材店の値段の高い安いが、簡単にわかりそうで、便利に感じられるのでしょうね!
ところが墓石の大きさが違うと、ケースバイケースで、才単価が変わってしまうので、なかなかお返事出来ません。
「才単価ですか・・・?」
「そうです。インド材でつくりたいので、才単価を知りたいんです。」
「石はお決まりですか?」
「決めていないので、幾つか聞いて、他の会社と値段を比べたいなと思っています。」
「相見積もりの才単価ですか・・・?墓石の大きさで違いますので、ご希望の墓石の大きさや形を教えていただけば、お見積もりしますが?大きさのわかる図面も付けますので、見積もり金額を才数で割ってもらえば、その墓石の才単価になりますよ!
インド材で、幾つかお見積もりしますが、それでどうですか?」とお返事したのですが、
「そうですか?他所は出してくれましたが・・・!じゃ!いいです」とお電話を切られました。
どうやら説明不足で、小難しいオヤジか?不親切な石材店だと思われたかもしれませんね!
申し訳なかったですが、才単価と言われても、電話では上手く説明が出来ませんでした。
上手く説明できる言葉を用意してなかったので、ここで簡単に説明しますね!
才単価と言うのは、業者間で使っている石材の単位です。
1才と言うのは、尺貫法の1尺立方で、30.3cm×30.3cm×30.3cmの立方体です。
この大きさの立方体を幾つ使ってお墓をつくったかが、石材使用量です。
才数(石材使用量)は、部材の縦×横×高さです。
つまり100万円のお墓を10才の石材使用量でつくった場合は、才単価10万円ですから、簡単に金額が出てきます。
お客様の知りたい才単価は、たぶん上記に示した才単価×石材使用量=墓石の価格だと思いますが、ここで言う才単価の中身は、いろんなものが含まれています。
才単価=(原石の価格+加工料+物流費+施工代金+石材店の利益)÷石材使用量です。(海外加工の場合は、船運賃、保険代、通関費がかかります)
石材商社と一般石材店の業者間では、加工料を含む才単価で取引をしますが、直接取引で原石をリスク(買い取り)し始めると加工料は別で計算します。
お金ないけど、この石とられたくないな~!
今回のお客様には、才単価を出さなかったのでは無くて、出せなかったんです!
例えば、東海地区から関西にかけての和墓の8寸、2平米の墓地で外柵の高さが15センチにして、尺(30センチ)の深さの基礎工事をしたとします。
墓石と外柵を合わせて、12才位の石材使用量です。(わかりやすい様に墓石と外柵は同じ石を使います)
インド材のアーバングレーを使用して、60万のお見積もりをだします。
60万円÷12才=5万円ですから、才単価は5万円です。
関東では、9寸関東墓で、2平米に外柵を30センチの高さにして、厚みも周りと同じレギュラーサイズにすると、30才位ですかね!
もちろん基礎工事も同じ仕様で、同じアーバングレーを使用して、100万円ぐらいのお見積もりになると思います。
100万円÷30才=3万3千円位ですから、才単価は、だいたい3万3千円です。
割り切れなくてすみません!
つまり私が墓石の大きさを聞いたのは、墓石の大きさで、才単価が変わってしまうからです。
3割以上も違うのに、いい加減な返事も出来ないし、上手く説明できなかった悔しさもあり、今ブログに書いているしだいです。
上手く説明できなくて、ごめんなさい!悔しい~!
それでは、変わってしまう才単価の内訳をご説明します。
原石の価格
原石の価格は、その時の相場ですね!
例えばインド材なら、支払いをした時点でのドルとルピーの為替の動き、需要と供給のバランス、石の良し悪し、原石の大きさで値段が違います。
ご存知でしたか?石は大きなブロック程、割高です。
「貴方知ったかぶりして話していますが、石の原価は知らないでしょ!」
方向性のある石材やキズ、ナデ、玉、オビ等の多く入っている石材は、歩留まりが悪く、石材使用量が増えます。
値段を叩き過ぎると、つくり変えていたら損します。つまりゴマカシだらけの薬漬け墓石になる訳です。
綺麗にナッチャオ!
加工料
地上納骨型の墓石の様に、精度の高い技術が要求される場合の工場は加工料が高く、特殊加工や彫刻には、別途加工料がかかります。
大きな部材の加工は、歪みや破損のリスクもあるので割り増しです。(梱包もその部材のみで行いますので、一つ分追加です)
物流費
ここでの物流費は、日本の港で、コンテナからトラックに積み替えて、石材店まで運ぶ料金です。
(船運賃、保険代、通関費は、FOB・C&F・CIF等の取引条件と輸入金額で違う事と大きな金額の違いにはならないので、ここでは触れない様にします)
運送代金は、大きくても小さくても、手間は同じ様にかかりますから、小さい墓石は割高です。
リフトで積み下ろしをします。
トラックで石材店や現場に輸送します。
施工代金
耐震施工は当たり前ですが、基礎工事の内容で金額が大きく変わります。
2平米の墓地に30才の重さの墓石で、尺基礎(30㎝の深さの基礎)を行いなすが、同じ2平米の墓地で、12才の墓石に、尺基礎は過剰品質にも感じます。(霊園の規定があれば必要です)
一言で基礎工事と言っても、各社仕様が変われば、基礎工事代金もかわり、墓地の広さでも工事代金は変わってしまいます。
とにかく地域も墓石の大きさも墓地の広さもわからない状況で、お返事のしようがありませんでした。
ここからボヤキます!
他所の会社が才単価を出してくれたと言われたもので、気になってネットで調べましたが、才単価で販売している会社がありました。
基礎工事代金は入っていない様でしたが、才単価が全然違いました。
安い方をよく見てみると、30才以下は別途料金で、80才以上は、価格を調整しますと書いてあるではないですか?
これも関東地域の価格相場から考えると仕方ないでしょうが、何かわかりにくいですね!
困っちゃう!比べようが無いです!
難所は、追加料金になっていますが、例えば、墓地が高いところで、ユニックが入らない場所にあるケースなどでしょうね!
重い石材を上げるために、ラフタークレーンが必要になり、その費用がプラスになりますからね!
これは何処の石材店でも同じだと思います。
「エッ!山の上のお寺じゃないですか?」
「オイラの出番だぜ!」
どうやって見積書をつくっていらっしゃるんでしょうね!
正直、才単価で販売している石材店の見積書を、見たことが無いんですよ!
ごめんなさい!
チャンとした才単価表を出しているのは2社ぐらいでしたが、他にも才単価で出している所があるのかな・・・?
いつも出してないのに、仕事欲しさにお客さんに言われれば、そのときばったりの才単価を、適当にだしている会社があるのかもしれませんね!
それでも、こうしてHP上に才単価表を掲載している会社は、かなり勇気が、いるでしょうね!
才単価の高い方は、この金額で出しちゃうと、他社に価格で下を潜られませんかね!
私も価格表をだして、しばらくしてから「価格表の一番最後のデザインで、他の石材店がもっと安くつくりますと言われました。安いんですが、小さい石材店なので、心配で・・・?」なんてお問い合わせが来ました。
「なんだ!それは?」
なんで私に相談されたのか?もっと安くして欲しいと言う事なのか?ご相談の意味が、よくわかりませんでした。
「メールで住所も名前もなければ、何でも聞けちゃうんだ?」と思いましたね!
価格を出したりすると、利用してやれ!何てうさん臭い奴が、必ずいるんですよ!
「大きさのわかる図面でもあれば、お返事出来るんですが・・・?」と申し上げるしかありませんでしたが、それっきりでしたね!
私の会社の図面が無いのに、墓石の形や大きさ(高さや巾)だけが同じでも、石の厚みなども分かる図面でないと比べようがありません!
比べるためには、石材使用量を同じにする必要があると言うことです。
ここで一番心配するのが、強度無視で石の厚みを削ってしまう事です!
先日、施工の時に、水汲みに行った職人さんが、
「社長、あの墓石とんでもないですよ!」
「とんでもないって?」
「あの墓石!金具で止めて無いですよ!」
「他所の墓石だろ?勝手に見るのは良くないよ!」
「そんなもんカロートの口が開いているから、見えちゃいますよ!」
「なに?おれも水汲んでくるよ!」
施工途中で。湿気を取るためなのか分かりませんが、カロート(納骨室)口が開けてあるので、内部で固定していないのが見えてしまっています。
カロート内で金具が見えない様にと言う考え方もありますが、見たところ3寸は絶対ありませんから、2寸5分(7.5㎝)ぐらいの壁板(唐戸)と同じく2寸5分(7.5㎝)の天板(納骨室上部)で、ボンドで施工でした。
ここまで削られると、今回ご相談の墓石だと80才の墓石が60才で出来てしまいますね!
ここの厚みが9㎝以下の墓石は危険です。
安い石材に変えたら、100万円ぐらいは違います。
(特に地上カロート型墓石は、地下カロートに比べて背が高くなります。
重い石が上に乗る訳ですから、その分カロート(納骨室)部分は、頑丈に作らなければなりません!
天板や壁板の厚みがセンチ以下なら、倒壊する危険性が高くなるでしょう。
周りに薄い墓石もあるから、削っても大丈夫ではありません!
過去に割れたことがあるから、現在の厚みになっています。
終わりの無い価格競争で、犠牲者が出るのは、考えたくも無いです)
金具が使えないほど石を削って、ボンドでつけてあるだけなんて、プラモデルじゃ無いんですから!
ボンドの効果が、15年とも20年とも言われていますが、誰もわからないんですよ!
ボンドの効果が無くなっても、崩れない構造と強度が必要では無いですかね!
「オッソロシ~!」
「バラバラになりそうで怖いですね!」
強度無視でつくった墓石より安いかもしれませんよ!
ガッツリおつりした価格表は、こちらです。
更に、今回のご相談で、気になったのは、「小さな石材店なので」の一言なんです。
大きな石材店だから、安心なんて事は、絶対ありません!
基礎工事で、8寸(25センチ程)掘ってある墓地に、ダンプで割栗石をバラまき、目つぶしを入れて、次の現場へ移動して行く大手のトラックがあります。
「隙間だらけだけどいいのかな~?」と見ていました。
その会社の営業マンなのでしょうね!
大変人当たりのいい営業マンでしたが、「うちの工事は、この地区でも頑丈だと言われていましてね!」と自慢げに説明してくれました。
この営業さんは、頑丈だと信じているんでしょうね!
信じている人の説明を聞いたお客さんも、凄いと想ってしまうでしょうね!
本格的な基礎工事は、こちらです。
霊園の中をグルグル回っていると、丁寧に割栗石を一つ一つ並べている石屋さんがいました。
こういう方を見つけると、仕事の邪魔にならない様に、必ず声をかけます。
「お疲れ様です!見せて頂いていいですか?」
「いいよ!見ていってくれ!アンタら三河ナンバーだけど岡崎かい?俺も若いころ岡崎で修業したよ!」
作業服着ている者同士、気安く話が出来るのが私たちです。
私が砂を手に取ると「この辺りは少し混ざるんだよ!岡崎にいた時に北陸に連れて行ってもらったが、あそこの砂は良かったなー!」
「そーですか?どうですお仕事は?」
「うちは大手と違うからね!値段もとれないよ!何とか仕事をもらえているからありがたいかな?」
施工の事だと話も滑らかですが、商売の事になると口数が少なくなるのは、真面目な職人さんに多いですね!
「この人いい仕事してくれるんだろうな~!」
どの地域に伺っても、立派なHPをおつくりの大手さんは、やはり気になるので、墓石を拝見するようにしています。
施工のステッカーが貼ってあるのでスグわかるんですが、出来たばかりの墓石で、コーキングに穴が空いていて、ガッカリすることも少なくありません!
立派な展示場やショールームが無くても、誠実な石材店さんは沢山います。
墓地の現地確認してもらって、説明してもらう以上の展示場はありません!
私の会社でも、来社時にサンプルを見てもらえる商談スペースを用意したぐらいで、最後は現地でお話しすることになります。
遠隔地でも、私がワゴンに乗せて行く60~70のサンプルで、ほとんど満足していただけます。
前振りばかりで、話が長くなってしまってごめんなさい!
言いたかったのは、大手石材店、創業何年の老舗、メディアに出演、営業マンのセールストーク等に惑わされずに、誠実な石材店を選んでいただきたいという事です。
お墓づくりで、後悔されないためにおつくりした、石材店で聞けない話はこちらです。
確かに騙す方もいるので、用心は必要ですが、駆け引きばかりを使っていても、誠実な石材店は見つかりません!
安くつくりたい、頑丈につくりたい、綺麗な石で想いを込めたデザインや加工をしたい等、それぞれの想いがあると思いますが、ご自分に合った誠実な石材店を是非選んでください。
選んだら、その石材店を信頼して、石も、デザインも、予算も、何でも相談して、いいお墓をつくってください。
これまでブログにしてきたことですが、ドンドン下にいって見えなくなってしまいました。
月並みですが、石材店の選び方のボタンをつくりましたのでご覧になってみてください。
墓石の事故からはじまって、なにかやりきれない気持ちでブログを書いているので、メチャクチャまとまりが、無くなって来ています。
ごめんなさい!
言いたい事があり過ぎて、ストレス溜まり過ぎなので、次回もボヤキます。
ボヤキながら、少しずつHPの工事をして、ご覧になりやすい様にしてまいります。
お後がよろしいようで!」