墓石屋ジイ仲間のヘベレケボヤキ編
いつもの居酒屋で、凍らせた中ジョッキを片手に
「マッ!お疲れさまです!」
仲のいい社長に呼び出されて、久しぶりに飲みに来ました。
「ふー!久しぶりですね!どうしたんです?珍しいじゃないですか?飲もうなんて!」
「いやね!家族と社員みんなで、温泉にお出かけやもんやから、俺一人留守番なんよ!」
「いいじゃないですか?まだ忙しいんじゃないですか?ふ~んそれでね!羽根を伸ばそうと!タマには臼井に、オゴッテや・ろ・う・か・な?と」
「違う!違う!ワリカンに決まっとる」
「ところでどうなんや?なんか熊本まで、荒らしに行っているらしいな?」
「人聞きの悪い事言わないでくださいよ!墓地を見てお客さんに、インパラブルーのサンプル見せて来ただけなんやから!一軒だけですよ!」
「それで、どうやったんや?震災の後は?」
「いや~!みなさん大変やったとおもいますよ!
この辺りでは見られないような大きな竿石が、ゴロンゴロンと落ちているのが、まだ随分残っていましたからね!
ホント気の毒ですよ!
お家を直さなあかんやろうし、お墓が後になるんでしょうね!
石屋さんも大変だとおもいますよ!
今回のお客さんは、遠い会社なのに、連絡してもらったんで、シッカリつくって、さし上げるつもりですよ!
墓地を回ると何本かですが、悪い業者かな~?と思うのがありましたからね!」
「そこでやね!アンタが一儲けしようと、地上カロートの価格表を出したってわけや!」
「よ~!うちのHP観てますな!なんか今日は悪い酒やな~!不謹慎なこと言ったらあきませんて!あれは、福岡のお客さんに言われて、つくっただけですって!
今まで関西と中部中心の墓石しか出してなかったからでよ!みなさんボッタクリに合わない様にですね!」
「よ~言うわ!アンタにかかったら、俺んところの良心的な値段でも、ボッタクリになってまうわ!」
「大将、この爺さんに何とか言ってやってね!もうダイブ飲まれてますの?」
「一時間以上お待ちでしたよ!お一人で寂しいんと違いますか?この間なんか、奥さん連れてきて、仲のいいこと、仲のいいこと!」
「そ~やったんですか?」
「その話はいいんや、いいて!アンタは、倅がやってくれるもんやから、あっちこっち好きなように出かけて、ええな~と思ってな!この間は、ベトナムでアオザイの綺麗どころと豪遊らしいがな!」
「エッ!誰の話なんです?僕行ってないですよ!大体!そっちは引退してますからね!」
「そうか?カワイソーニナ~!俺は、まだ現役バリバリよ!」
「また!見え張って!今度奥さんに逢ったら言っときますわ!大変ですね~って」
「やめてくれよ!婆さんのこと思い出したら、酔いが醒めるやないか!絶対言ったらあかんぞ!絶対言ったらあかんぞ!」
「言ったら、どないなりますの?」
「マッ!あくる日からかつお節ごはんやな!」
それからも、ひとしきり私に絡んで、やっと落ち着いて話が出来るようになりました。
「ほんで、どうしましたの?今日は!」
「誰も居らんから、お客さんから連絡あったんで、ワシが行ったわけよ!
そしたら、保証書の天災部分を直してくれと言う話でな!
他社は震度7まで保証しますという訳や!
1メートルも無い小さな洋墓で、必要ないと思ったんやけど、(ご希望なら耐震のジェルも使いますが、そこまでの保証は出来ません」と説明したのよ!」
「いいんじゃないですか?それで」
「そしたら誠意がないって、言われてしもうたのよ!」
「それでご機嫌斜めやったわけですね!
僕だってそう言いますよ!阪神大震災なんて、70センチ位の縦揺れだったわけで、そうなったら耐震ピンも耐震ジェルも何にも役に立ちませんよ!あくまで可能性の問題なんですから!保証が出来るお店があるなら、保証して頂けばいいじゃないですか?」
「ソッ!そうやろ!それ娘婿に言ったってくれへんかな?婿さんのお客なんや!」
「え~?」
「何かって言うと、アンタみたいな商売がしたいみたいなんや!」
「ハァ?それでワタシにあたってましたん?勘弁してくださいよー!そんな良いもんや無いんですから!派手に見えるだけで、体がエライだけですって!」
「地元だけで商売をしていると、徐々に減って来てな~」
「社長の会社は、大きいからですって、婿さんよくやってらっしゃるじゃないですか?
堅実に経営してなかったら、とっくの昔に廃業ですよ!」
「そーかな~?今日の様なお客さんが、増えてくるとな・・・?」
「僕は安く売っていますけど、ガッツリつくらせてもらってますよ!
安くつくって、壊れやすい墓石や、採れたばかりの経年変化のわからない石で、根拠のない保証なんか出来ませんからね!
会社の粗利より大きなリスクは、負えないです。それやったらつぶれますよ」
「何時からかな~!お客さんに大丈夫やと言えん様になったのは?」
「そんなもん!随分前から言えていませんよ!そんなこと言えるのは、原価の3倍以上で売って、トラブルになったら、つくり直しても、50%の粗利がある会社ですね。
ほとんどの場合は、とぼけて逃げて、修理代をせしめる会社だけです」
「何か!今日はえらい説得されとるな~」
「いつも迷っているお客さんの所を中心に回っていますからね!とにかく安く欲しいお客さんも、保証書を直して欲しいお客さんも、わからないから迷って、悩んでいるだけなんですよ。
ネットで間違った情報が拡散してる上に、石材店ごとに、言うことが違うから迷うんですよ!悪気は無いんですよ!」
「僕は、頭悪いから難しい事はわからんから!お客さんも、職人さんも、外国人も理屈抜きで、逢いに行くんです。
そうすると相手の気持ちを感じることが出来るし、自分の事も何となくわかってもらえるじゃないですか?
アレ・・・?これ私に言ったのは、社長ですよね!」
「今頃思い出したんか?師匠に説教たれやがって!」
「大将~!この半分隠居ボケの爺さんに言ったってくださいよ!タマには、中国でもインドでも、出かけたらどうやって?」
「インドは堪忍してくれ!長時間のエコノミーは、耐えられん!」
話は店のかんばんまで続きましたが、この続きはまた後日!
価格表は、真面目におつくりしました。
地上カロート型墓石の価格表をご覧ください。