墓石の建立者名は、どなたでもいいです。
奥さんが亡くなられて、ご主人がお墓を建てられるんですが、建立者名をご主人にしていたら、ご親戚の方に息子さんの名前にするものだと言われたそうで、ご相談がありました。
理由は、これからお墓を守っていくのだから、字を刻むことで自覚を持ってもらうという意味で息子さんにするものだ。
お墓に名前が刻んであれば、最初は感じなくてもいつかは墓守の自覚が生まれてくるという事らしいです。
「ご主人はどうされたいのですか?お家のお墓ですから、ご主人の名前でも、息子さんと二人刻んでもいいのではないですか?」とお返事いたしました。
でも、誰かにこういうものだとはっきり言われると、誰でも不安になりますよね。
施主様もわからない事だけに、決めかねていらっしゃいました。
そこで墓地をご案内して幾つかのお墓の建立者名をご覧になっていただきました。
このお墓は、お父様が亡くなって息子さんが、「親父のお金で買わしてもらうから、施主も親父の名前にしてほしいと」ご希望で刻みました。
建立の日付より亡くなった年月日の方が早い時期で刻まれています。
このお墓は、生前に自分達夫婦のお墓を建立して、建立者としてご夫婦の名前が刻んであります。だから妻○○とも刻んであります。
このお墓は、嫁に出た兄弟姉妹お名前も連名で建立者として記してありますからご苗字がちがいます。
離婚するかもしれないから、奥さんの名前は刻まないとか言う人がいますが、ご主人が養子さんの場合は娘さんの名前になるんですか?
おかしいですよね!
建立者名と祭祀継承者は違います。
建立者ですから、お墓を一緒に建てた方のお名前でいいと思いますよ!
今回ご主人は、奥様のためにおつくりになるわけで、お子さんに墓守の自覚を持ってもらうためにおつくりになるお墓ではないですよね!
「いや、ありがとう。忙しいのに墓地まで付き合って説明してくれて、すまなかったね!僕の名前だけ刻んでください。お願いします」
「かしこまりました。よかったです。では、ご契約書の作成を最初の彫刻原稿のままで進めさせていただきます。」
お墓は、みなさんの想いでおつくりになる物だと考えます。
亡くなった奥様に感謝して、皆さんが今を生きていられることを感謝して、幸せになっていただくのがお墓だと思います。
なぜなら、亡くなった奥様の想いはただ一つ、残されたみなさんの幸せだと思うからです。
今は、財産を長男が全てを引き継ぎ、母親兄弟姉妹はもちろん、分家の面倒まで見ていた時代ではありません。
兄弟平等に仲良くが一番です。