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ここでは、お客様からお聞きしたお話しから、よくそんないい加減な説明で販売が出来るものだな?と呆れたものをご紹介させていただきます。
もっともらしく専門家を気取って話していますが、業界の事を少しご存じのお客様ならバカにされます。
「うちの店は、文字彫刻を日本で彫っています。中国の字彫では通らんのですわ」
この説明だと、海外加工だと言っているようですから、日本で加工している風な接客をしてないだけ、まだましですかね!
ノミで彫るなんて昔の話で、手で彫れる職人は、殆どいなくなりました。
お近くの石材店は、99%彫っていないとお考え下さい。
文字彫刻は、PCでゴムの板に文字の形を切り取って、墓石に貼ります。
その部分をサンドブラストで砂を吹き付けて彫ります。
ペンキを入れるのも、彫った後にゴムを剥がさないで、スプレーペイントをして、出来上がりです。
流れ作業と、丁寧に一文字一文字の差はありますが、中国と日本での技術の差なんて、素人目に分かる位に出ようがありません。
関西は深め、関東は浅めが好まれますが、ご希望で深めか浅めか指定すればいいのです。
いかにも、そのお店がいい墓石を販売しているように説明していますが、そんなことはありません。
国内で彫刻するには、輸入された木箱を開けて、彫刻屋さんに彫刻部分を移動するか、出張してもらって彫ってもらう訳ですから、かえって余計な費用がかかります。
厳密に言うと文字の書き順で、筆に力が入るところを深く掘るのが良いとされていますが、拘って国内字彫りにすると、何万円かの追加費用が発生します。
「違いますか?分かりますか?」とご質問がありますが、違うと言えば違う程度です。
どれくらい違うのかのご質問だと、誰かに指摘されて比べると違いが分かるぐらいです。
中国で丁寧に彫ってもらえば、素人さんに分かるでしょうか?
「日本の風土に合うのは日本の石だけですわ」
海外の石がどう違うのか?風土に合うと言う意味が今一つ分かりません!
日本にある石ですから、合わないとは言いませんが、鉱物として日本の石が良質で海外の石が劣るとは思えません!国産の石でも建立後すぐにくすみ始める石もあります。
吸水率、圧縮強度、見かけ比重等の数値を見ると、日本の石でも中国材でも、性能の良し悪しは石によって変わります。
日本の石でも、中国の石と性能的に変わらない石が多くあります。
元々大陸と地続きだった訳ですから、似た石が有ってもおかしくありません!
佐賀の天山石やインド材の幾つかは、吸水率も低くて高性能な数値を示しますが、日本だからって、特別石の性能が優れている訳ではありません!
御影石は、何十億年前の古い地層から採掘されている場合も少なくありません!
日本列島創生以前につくられている石が、風土に合っているかは疑問です。
数値が低くても、御影石(深成岩)であれば、簡単に壊れる様な事はありません!
気が遠くなるほど長い年月をかけて石は出来上がっていますので、今の気候や風土に当てはめて日本の石だけという説明はいかがなものでしょうか?
高い墓石を買わせようとしているのが、ミエミエです。
「この石は水を吸っていますが、下から水が昇って縁起がいい石ですよ」
お墓は、息をしていない石を選ぶのがいいとされています。
何でも適当に理由を付けて売ればいいというものではありません。
吸水率が高ければ、変色はするし石の経年変化も早いです。
調子のいい説明をしやがって、ふざけるな!と言ってやりたいですね!
「文字彫刻部分のペンキが剥げてきたら、ご自分で簡単に塗り直せます」
プロの様な仕上がりにするのは、何度も塗り直しをして奇麗に仕上げますので簡単ではありません!剥げてきた文字が見えるようにする位なら、ホームセンターでラッカー、ラッカー薄め液、はけを購入すれば可能です。
費用は1000円~1500円位です。
車のワックスを磨きの部分に塗っておけば、最後に拭き取れば綺麗になります。
小さな文字や家紋などは、気が遠くなりますので、業者さんを頼むのもいいでしょう。
お墓全体のペンキ入れでも、3万円前後では無いでしょうか?
原価は安いですが、現地まで行く時間と、乾くまでの時間を考えると、妥当な金額かもしれません!
「これだけ中国でつくっているので、全然心配いりません。中国でも日本でも変わりません」
変わらない事はありません!
練習生に作らせれば分かりませんが、今や日本の職人さんに作ってもらうのは、一握りの特別な職人さんに、それなりの加工賃をお支払いしてつくってもらうということです。
少しでも安くつくるために中国加工しているわけですから、国内加工と比べたらわかります。
同じ様に中国でつくらせたら出来るでしょうが、それなりの加工賃が必要です。
ご予算のある方は、日本の石を国内することのご検討を国内加工も検討されてもいいと思いますよ!
「黒い石のお墓は、あまり縁起が良くないです。墓石はやっぱり日本の白い石がいいですよ」
そんなことはありません!
東北や長野県、鹿児島県も黒石です。寒い地域は、比較的吸水率の低い黒い石が多いですね。
黒くていい石が採れた地域では、黒の墓石が多いです。
縁起が悪いなんてその地域の方に怒られます。
最近の傾向ですが、白い石が好まれた地域でも、黒いお墓が増えて来ています。
「お墓の基礎なんか鉄筋でやるもんじゃないですよ!墓相学では、お墓にお金をかけて直すのが供養です」
墓相学が確立したのは、江戸時代の後期で、易者と石屋が儲かるように考えたものです。
石屋さんとバックマージンを貰える易者さんにとっては、いい話ですね!
土にそのまま埋葬した時代ならともかく、焼骨にしてしまう今日では、子孫に負担をかけないように頑丈につくり、納骨室(カロート)内側の部分だけコンクリートでは無く、土でおつくりするのが施主様のご希望だとおもいます。
阪神大震災以来、関西も基礎工事をするようになっているので日本の多くの地域で基礎がつくられています。
東海地区の石材店には、基礎工事をしないお店がまだまだ多いですが、最近では基礎をつくる石材店が、増えてきました。
「仏壇も納骨も四十九日までに行います」
「どなたがおっしゃったのですか?ご住職ですか?」とお聞きしました。
葬祭屋さんに言われたといわれるので、ご住職に、曹洞宗はそうなのですか?とお尋ねしたら「そんなことはない。仏壇もお墓もあわてて用意しなくてもいいよ!と二週間過ぎて落ち着いた頃に言おうと思っていたら、もう買ってしま
った話を聞いて、驚いたよ!」とおっしゃいました。
確かに三十五日や四十九日に納骨を行う地域もありますが、限られた地域です。
お悔やみ営業とは言いますが、悲しみで、あれもしてあげたかった,これもしてあげたかったと思われているご遺族の弱みに付け込んで、やりたい放題は許せないです。
ご本人には、気の毒で言えないので、黙っていましたが、みなさん絶対に慌てないでください。
お客様の「御影が欲しいんですが?」のお尋ねに「これは御影です。日本の本御影です。いい石ですよ!」と答えた営業がいたそうです。
「えっ!本御影ですか?本御影はいま採れていません。今ご紹介しているのは全て御影ですが!」とお返事すると「よくわかりませんが、御影がいいと聞いたので御影でつくってやりたいのですが?」と困った顔をされました。
傍においでの息子さんが、先日、石材店に母と見に行った時に、専門の方が出て来て「愛媛県の本御影です」と石を見せてくれたそうです。
「本当にそんなこと言ったんですか?」ご覧になったのは、こんな石ですか?と大島石のサンプルをお見せすると「これです!」とおっしゃいました。
本御影は、現在の神戸市東灘区の辺りで採れていましたが、現在は採れていません。私が生まれる前から採掘していませんので、もうありません。
ご覧になったのは、愛媛県の大島石で、本御影ではありません。
現在では、花崗岩、斑レイ岩を中心に、深成岩の全てを御影石と言っているご説明をしました。
「御影はもう無いんだと」と息子さんに言われて、がっかりされたご婦人の顔が忘れられません!
仏壇店や葬儀社ならともかく石材店の店頭にいれば専門家に見えるんですから、もう少し教育してから店に出して欲しいです。
もっとも教育できる人間も、いないかもしれませんがね!
「インドの石なら、どれを選んで頂いても、大丈夫です。水も吸わないですからね!」
インドの石なら水を吸わないのは間違いです。
インド材でもシーラ、インドパスンの様な白系で細目の石は水を吸い変色もします。
クンナム、PAN、MU等のインド黒御影、M1H、アーバングレー、インド銀河等は吸水率も低く高品質ですが、今やインドのそこら中で、採掘が行われています。
新しく採掘された石は、経年変化も分からずトラブルの情報も多くなりました。
原産地だけで販売する営業さんは、勉強不足です。