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「日本の石を使っています」とか、「私が責任もっておつくりします」とか言って、加工地や自分で加工していない事を言わないで、日本産の石を自社で加工するかの様な販売をしている石材店の話は、すでにご存知かと思います。
ここでは、代表的な国産材に良く似ている石材と石の性質の基礎知識のお話をいたします。
日本産出の石材を使用される場合、特に国内加工を希望されるケースでは、原価が大変高くなります。
国産の銘石と呼ばれる様なブランド石と石目が似ていても、性質や性能が違い、格段に安くつくれる石もあります。
安い石でつくられた墓石を、高額で購入しない様に、ご注意してください。
同じ様な白系の国産材でも、よく似ている石は、プロでも2メートル離れたら分からないくらい似ています。
みちのくの石、四国の石等の漠然とした説明では、石の種類が分かりません!
同じ地域で採掘されていても、丁場の位置、深さで石目や色目が違いますので、その石を専門に扱っている業者で無いと、区別がつかない事もあります。
購入時には、産出地と石材名は必ず聞き、契約書に石材名を明記して、日本の石でおつくりの場合は、産地証明をもらってください。
国内加工では、加工証明を必ずもらってください。
庵治石(香川県)
花崗岩のダイヤといわれ、正式名称は「黒雲母細粒花崗閃緑岩」斑(ふ)と呼ばれるうろこ雲に似た文様が特徴的です。
細目(こまめ)、中細目、中目で、取り扱い業者で極極上、極上、特上、上級などとランクが複雑に分かれているために、わかりにくい。
中でも大丁場の白庵治が最高と言われるが、関東では見られないです。
最高級石材で中国へは、若干輸出されているが、いい物は無いですね!
庵治石で安いものを探しても、斑が見えなくて庵治石に見えないことがあります。
類似品としては天竜青御影がある。
天竜青御影(長野県)
庵治石の中細目くらいの石目で、高級感もあり庵治石に類似した斑(ふ)がある。
黒手と白手があり、中国にも輸出されていました。
庵治石の安いものを探すより、麩のある石で安くつくりたいなら、この石のご検討をお薦めします。
大島石(愛媛県)
石の貴婦人と言われて、青磁の肌を感じさせる気品があり、石善の石が有名。
吸水率は低めで天目を通せば、水が抜ける性質がある。
(天目とは、石が出来るときの流れの様な物で、熟知した職人が同じ方向で墓石をつくる技術)
中国へ大量に輸出してあり、多くが中国加工です。中国でも天目を通すことは出来なくはないが、それなりのコストがかかります。
ランクは、特級、一級、カレイ、二等などに分けられている。
丁場の数が多く、会社ごとの特級があるために、大変分かりにくいのが大島石のランクです。
類似品は、滝根御影(福島県)、紀山石(福島県)、芝山石(福島県)AG98、AG213です。
(紀山石と芝山石は同じ山でしから良く似ています。岩盤で産出が紀山石、玉石が芝山石です)
紀山石(福島県)
いわき市と平田村の間の芝山で採掘され、石目が大島石とG614(福建省)の間くらいの紋様です。
AG98(福建省)
白系の中細目で石目が大島と類似しているために、中国大島と言われる。
吸水率は高いが、キズ、色むら、スジ等は少ない。
霊園内で最も多くみられるのがこの石ですが、お客様が出来上がった墓石をご覧になって、見分けるのは難しいです。
AG213(福建省)
AG98より吸水率は少なく変色しにくいと言われる。中国大島と言われるが、後に説明する真壁小目にも類似している。
AG98もAG213も霊園の中で、お客様がご覧になって、大島石と区別できる方は少ないです。
国内加工であるとか、天目通し(石目通し)等に拘られずに、石目の美しさだけで選ばれるなら、中国材でも問題ありません!
天山石
佐賀県唐津市近郊の花崗岩で、天山御影とか鍋島御影と呼ばれる閃雲花崗閃緑岩。
中目で青みがかった色で、国内屈指の吸水率の少なさと経年変化のない美しい銘石です。
天山石と呼ばれるのは、天山石材と田中石材の採掘した石材だけです。
天山石材の石の方が、若干濃い色目ですが、品質に差はありません。
天山石材の石で、特に色の濃い物を「紺碧」、次が「銀剛」と名が付けられ、天山石の最高級品として販売されている。
近年人気があるので、中国でも天山石材と田中石材の産地証明を出してくる工場がありますから、ご心配なら出してもらうといいでしょう。
ランクとしては特級、一級、並等に分かれている。
同じ天山石系の七山御影、富士御影がある。
もちろん天山石が若干高価だが、私たちでも見分けはつけにくくサンプルで確認する。
同じ佐賀県の椿石も若干石目が違うが良く似ている。
採掘時期で、天山石よりも色が濃く美しい七山御影や、富士御影が採掘される事もあります。
同じ天山系の石ですから、国内屈指の高品質です。
どの石も美しく高品質ですから、お好みで選ばれればいい石ばかりです。
その時々で、採掘される石の質が違いますので、時期的に最も綺麗な石を紹介してもらうのも良いでしょう。
真壁石(茨木県)
中目と小目があり国産材としては比較的リーズナブルな石材。
以前真壁の青石を見たことはありますが、大変綺麗な石だった印象があります。
残念ながら近年、以前ほど青い石は採掘されていないとの情報。
中国にも多くの石材が輸出されており、売値はアーバングレーとインド銀河の中間ぐらいのプライスゾーン。
国内加工をしても、かくもの加工(直線的な加工で曲線など複雑な加工をやくもの加工という)でつくれば金額は変わらないのではと感じる。
近年、ヤクモノ加工の部分だけを中国で、その他直線的な部分を国内で加工されている墓石も多い。
中目に似ているのが、G603、小目に似ているのはAG213
G603(福建省)
G603は、荒目の白系の石です。
日本に多く輸出され「石材業界を支えてきた石」とまで言われるほど、20年以上前から使用されているポピュラーな石材です。
そのため、「お墓らしいお墓」を安価に建てたい場合におすすめの石材です。
丁場が度々採掘STOPになります。
錆が出ることが有るのがデメリットです。
福建省産出の石材が、政府の方針で丁場STOPになることが多く、AG98の代替品としての新AG98、G603の代替品として湖北603がありますが、大島石や真壁石には、類似してはいません!
その他の石材につきましては、無料相談にお問い合わせください。
代表的な石の類似石のご説明をしましたが、国産材をお買い求めになるときは、高額なお買い物になりますので、産地証明と加工地のご確認をされるのがベストです。