富山県のお墓は大きいと聞いていましたが、これ程とは・・・?
「・・・?個人のお墓なのですか?」
私の会社は、関東、関西を中心に全国の対応をしていますが、富山県でお墓をおつくりするのは初めてです。
今回私がお作りしたのは、和洋折衷型の地上納骨式お墓ですが、隣接する和型は、伝統的な笠墓で大変大きな墓石でした。
大きくなればなる程、基礎工事や構造には気を使わなければなりません!
私は日本全国、行く先々の霊園で、声をかけたりして、お墓づくりの違いを石材店さんに教えて頂いています。
富山には、以前よりブログを拝見して、参考にもさせて頂いていた宮崎さんという方がおいでになります。
新しい事業に挑戦するために、4年ほど前に石の業界から離れられています。
富山に行くので、ご教授願えないか?とご連絡をしたのですが、快く引き受けて頂けました。
私は富山市近郊で、短時間お墓を観ながらお話を聞くつもりをしていましたが、「富山にいらっしゃるのなら、黒部地区のお墓をご覧になったらどうですか?」とご自分の自宅からは、車で1時間半位はかかる位、遠隔地の霊園まで来て頂けました。
富山県の大きな墓石は、幾つか観ていましたが、案内された墓所は私の想像を超えていました。
周辺の墓石も大きいので、近くまで行ってその大きさが分かると、一瞬声が出ませんでしたね!
その区画の墓所の多くが、住居程の広さがあり、入り口の門柱の一つが、私の胸まで位あり、墓石本体も見上げるくらいでした。
どの位の石材使用量かは、想像もつきませんが、基礎工事も尺基礎などと言ったレベルでは無く、多分住宅の土木工事の様な施工が必要でしょう。
墓所の持ち主のご了解を頂いていませんので、画像は出せませんが、案内して頂いたのは、黒部市営宮森墓地です。
その後からも、車で黒部から富山市内、高岡と移動して、墓石の大きさや形の違いを説明して頂きました。
同じ富山県のお墓でも、西に行く程、大きさも小さくなり、蓮華やスリン等の豪華な装飾から、シンプルなデザインに変わっていました。
小さくなったと言っても、最初に観たお墓が大きかったからで、一般的な墓石の大きさよりは大きいです。
特徴的には、どの地域でも墓石下部の根太石が、一枚石の胴抜きになっていたことです。
根太(墓石の土台)部分が1枚になっています。
この部分を四ツ石(四分割にした石)にすれば、石材使用量も抑えられて、安くつくる事ができます。
富山の墓石づくりは、大きさと高さを考えて、何年か経過してもズレない構造になったのでしょうね!
小さな墓石であれば、四ツ石でも金具で固定すれば大丈夫かと思いますが、このつくり方は、間違いなく強いです。
ご予算が許されるなら、石材店に相談されても良いでしょう。
富山の地上カロートは、納骨室の入り口が殆ど観音扉になっています。
宮崎さんのおつくりになった墓石は、ご自身の拘りがあるのでしょうね!観音扉では無く羽目蓋になっていました。
観音扉は、カロート口を容易に開ける事が出来ますが、どうしても隙間から雨水が振り込みやすいのです。
その点羽目蓋なら、観音扉に比べて防水構造には優れています。
勿論、蓋の構造についても、宮崎さんなりの拘りがあり、蓋が吸い付くようなカットになっていました。
カロート内の水返し構造についても、ご説明して頂きましたが、大変勉強になりました。
正直、ここまで拘って墓石をおつくりになっていた方が、石の業界から離れられたのは、大変残念な事です。
新しい事業に挑戦されるには、勇気が要ったと思いますが、人生はリセットと再起動の繰り返しなのかもしれません。
お客様の為に工夫をして行かれる方なら、何処に行かれても良い仕事をされる事でしょう。
新天地でのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
宮崎様
この度は、厚かましいお願いにも関わらず、丸一日ご教授をして頂きましてありがとうございました。
機会あれば、今回教えて頂いた構造を参考に、お墓づくりをさせて頂きたいと思います。