価値ある墓石づくりの考え方です。(山梨県甲斐市のお墓)
「価値の伴わない物は、いくら安くても誰からも欲しいと思われないものですよ!」とおっしゃったお客様のお話しが印象的でした。
お墓も素晴らしいですが、施主さんの検討の仕方がお見事でした。
最初に何社かの見積もりを貰って、金額、加工、施工、石選びを順に検討して行かれた様です。
墓地の確認に伺った折に立ち会って頂いて、ご希望をお聞きしたのですが、その際に他社図面とお見積もりをご持参でしたので、同じ大きさで見積もる為に拝見させていただきました。
中国材でしたが、かなり安い見積書でした。
その場で「私の会社は、出来るだけ安くお作りしていますが、この見積もり金額では出せないと思いますよ!」とお答えしました。
周辺の墓石を見れば、石材のランクや施工方法等、大体の想像は付きました。
安くつくる方法は分かっているので、もっと低い金額で見積もることも可能でしたが、それでは当社の仕様では無くなってしまいます。
墓地の採寸もいい加減な図面でしたが、取り敢えず同じデザインと幾つかの石種で、お見積もりをお出ししました。
思った通り他社より若干高いお見積もりになりましたが、そのままの金額でお出ししました。
しばらくしてご連絡があったのですが、中国材は他社の方が安いけれども、インド材になると御社の見積もりの方が安いとおっしゃるのです。
忙しいお仕事の合間に、ジックリと検討して行かれたので、ご連絡までにお時間がかかったのでしょう。
石のサンプルを見たいのと、基礎工事や施工内容をもう一度確認をしたいので、墓地で逢ってもらいたいとのご依頼でした。
あれから土木関係のご友人に相談され、ご自分でも色々お調べになった様です。
石材店を信じてお墓づくりをされる事は大切ですが、信じすぎて疑問に思ったことを聞かないで、そのまま進んでしまうのは良くありません!
昔からの家業をついで、相変わらず「大丈夫ですから!」「任せてください!」の石材店もまだまだ多いです。
それなりに知識をえられたお客様だと、曖昧な説明では、まず誤魔化せませんね!
今回のケースでは、中国材からインド材に変わる事で、見積もり金額が逆転してしまったのは、施工代金を同じと考えると、墓石代金が高くなったのでしょうね!
中国と直接取引だから安いと言うのが、セールストークだったらしいですが、多分、工場直でなくて中国商社の事ですね!
そこで20%位のマージンは取られてしまいますから、金額の高い石だとマージンも多く取られますから、ここで逆転してしまったのでしょうね!
自分で工場まで直接行かないと、いい墓石は安くつくれません!
安い中国材を使用したケースで、見積もり金額が高くなってしまったのは、石の良し悪し、加工、最も大きいのが施工費用だと思います。
私の会社では、使用する資材や骨材の取り扱いまで、細かく仕様が決められていますので、施工代金は相応に支払っていると思います。
この大きさの墓石になると耐震構造、耐震施工、頑丈な基礎工事が必要である事のご説明をさせて頂きました。
施工のご質問の後は、周辺のお墓をご覧になりながら石のご質問でした。
山梨の墓所は広くて大きめの墓石が多いのですが、この墓所は特に大きな墓石ばかりで、中国材が中心でした。
水を吸ったり日に焼けて変色している事、大きなナデが入っている事等のご質問でした。
吸水率や耐光性は石その物の性質ですが、建てられてからの年数を考えると磨きがあまいですかね?
日に焼けた様な変色は、出来上がった時は分かりませんが、磨きが甘いとなりやすいです。
ナデは加工中に入っているのは分かりますので、叩いたり焼いたり色を塗ってゴマカシテあったのでしょう。
原石の段階で、ナデが何処に入っているか分かるのです。
ここから割れて来るような悪いものでは無いのですが、見た目が悪いですよね!
かわすと歩留まりが悪くなるので、その分高くなりますが、私の会社では、目立つ箇所に出てくる場合は、自分自身のお墓に出たら嫌だと思うので、取り替えるか?交わすようにしています。
これは見た目の印象ですから、墓石を買う側と売る側の、見解の相違が出やすい部分です。
「目立つ箇所に出るのは嫌です」と伝えていないと、一番目立つ正面に入っていても「これくらいは・・・?」と、石材店に言われてしまうのがナデです。
さて、墓石のご紹介をしてまいりますが、今回のご依頼は、基礎工事がされていなかったことが原因で、舞台の石が折れて、破損してしまった為のリフォームでした。
今回、現在の墓石は、そのままご使用して頂きました。
墓石は地元山梨産出の山崎石です。
現在は採掘されていない希少品です。
山崎石は深成岩では無いので、比較的柔らかくて、中部や関西地区でも多く建てられていますが、古くなるとヒビ割れていることが多いのです。
ところがこの墓地には、何基も古い山崎石の墓石が建っているのですが、どの墓石も割れてはいません!
多分地元にはいい石を使って、遠隔地にはB級品を送っているのでしょうね!
大名笠にも苔が生えて、いい雰囲気なのです。
灯篭や社等も、良い雰囲気に経年変化が進んでいましたので、舞台と外柵の全て、もちろんカロートは石棺で綺麗に、その他傷んでいる部材をおつくりしました。
石は、墓石本体の山崎石(甲州小松)に合わせて、インド銀河を選ばれました。
銀河はその細目の美しさと抜群の性能なのですが、加工が大変ではありました。
大きくなると色合わせと、シミの様な箇所を交して作って行かねばなりませんので、かなり苦労をしました。
それでも、通常は墓石に使用されている石で、舞台、囲障、拝石の貼り石までの総てをつくられた訳ですから、それは綺麗ですよ!
これ位まで新しくするとリフォームと言うより建て替えですね!
ご予算に関しては、おっしゃいませんでしたが、これをすると幾ら?これをすると幾ら?と、ご自分で決めた予算の中で、おつくりになった様でした。
最初は何社かの話と見積もりを聞いて、大体必要な費用をつかまれたのでは無いでしょうか?
ご自分で調べて、工事に詳しい友人に相談して、値段だけで決めてしまう方が多い中、費用対効果を考えながら、質を求めてお墓づくりをされました。
お参りをされるどなた様もが、美しいと言われる様な墓石をお作りさせて頂きました。ありがとうございました。
補足
私の会社では、HP上に基礎工事や施工を載せていますので、同じ施工を要望されると、「必要ないです!」とか「高いですよ!」等と言われる事も有りますが、余計なお世話です。
取り付け料金を含めて1箇所1000円の金具を30箇所取り付けて、3万円の販売価格がアップ、8箇所なら8000円の違いです。
それが高いか?安いか?は、どちらに重きを置くかは、お客様の価値観の違いなのです。
お墓は想いでおつくりになるものです。
値段でお墓の価値は決まりません!
お客様の予算に関わらず、価値ある墓石を正直に!更に、お値打ちにご提案することが大切では無いでしょうか?
墓石材、加工、施工、構造等、HP上に簡単にご説明してございますので、ご覧になって価値ある墓石をおつくりください。
施工代を含めた墓石の価格表も掲載してございます。
ご予算のご検討の目安としてご参考にされてください。