「同じ石種なら何処に頼んでも、同じ位黒いですか?」
墓所の確認に伺うと、殆どのお客様がサンプルを見たいと言われます。
その為私の車には、インド材や黒御影のを中心に、代表的な石のサンプルを50種類位は積んでいます。
ご要望が多い黒御影石のサンプルをお見せする場合、ファイングレイン・エボニーブラック・ボナコート・スターギャラクシー・YKD・MU・PTR等を並べて御覧頂くと、石の黒さが其々違う事がお分かりになります。
「こんなに違うのですね!この石が一番黒いですね!何処に頼んでも同じ位黒いですか?」
「同じでは無いと思いますよ!このサンプルは、油塗をしてありませんから、黒さの違いが分かり安いのかもしれませんね!」
「サンプルも塗ってあるのですか?」「黒くなければ売れませんからね!」
するとお客様が、バックの中から石材サンプルを取り出して、比べられるではありませんか?
「この石・・・?YKDですね!」
「ええ!他の石屋さんから、お薦めの石を貰いました」
「私がお持ちしたサンプルの様に、YKDは小さな白い点があるんですよ!これ黒いですが塗ってありますね!このサンプルを、こうして指で触って貰えませんか?これが研磨した石の濡れ感です。お持ちのサンプルも同じ様に触ってみて頂けますか?」
「・・・?アッ~!比べると塗ってあるのが分かる!」
「お分かりになりましたか?」(笑)
「YKDは、日焼けが早かったり、錆たりする悪い石では無いのですが、こんなに黒くは無いです」(笑)
「先に塗ってある方を擦ると、指に油が付きますから、分からなくなってしまいますがね!」
黒くて気に入っていたのですが!
黒御影は、研磨を重ねる毎に、艶がのって来ます。
加工賃を安く叩くと、研磨回数を減らして、バフ仕上げで誤魔化してきます。
高い熱で強引に艶出しをしていますので、表面の剥離や艶に濁りが生じてしまいます。
多量の水を使用した砥石の研磨と比べると、艶持ちが悪く、何年か経過すると、経年変化に差が出てきます。
私の場合、綺麗でいて欲しいので、研磨中心の艶出しをお願いしています。
僅かばかりの加工賃を値切って、トラブルになるのは御免ですからね!
黒御影を見分ける事が出来る石材店は一握りです。
私も黒御影が好きで扱う事も多いのですが、扱った事の無い石だと「この石何ですか?」と聞かれても「分かりません!」とお返事する事もあります。
つくった事のある石目、色目等でどの石なのか?を判別していますから、ファイングレインじゃ無い!
クンナムじゃ無い!
PANでも無い!
違う事が分かっても、石材名が出てこない事もあります。
まして塗って有ったら、色目が分かりませんので、特徴のある石目で無いと判別できません!
「分かりません!画像を送って工場に聞いてみましょうかね!」
分からなかったら、誰か知っているか?に聞いてみる事にしています。
黒御影石は、温かさを感じる様な石目と色目の黒!
硬さや輝く艶が特徴的な黒!
等があり、それぞれ個性的な色目、石目があります。
価格を比べられるのも大切ですが、幾つかの黒を比べて、お気にめいた石をチョイスされるのも如何でしょうか?