墓石屋ジイのヘベレケ初夢編

2018年1月1日 Category - 小話

「謹賀新年！あけましておめでとうございます」

「おめでとうございます。旧年中はお世話に・・・」なんて、玄関先で挨拶を始めましたが、この人は挨拶もチャンとさせてくれません！

「オウ！上がれ！上がれ！めでたいことなんかあるか！また年をくってまったがや！」

「アンタ正月早々に作業着なんぞ着やがって、他に着るもん無いんか！」

「初詣には制服でしょ！なんて、これが一番楽で落ち着くんですよ！」

「俺なんか、年末の空いている時に、お礼に行って済ませてきたな！」

「それもアリなんですがね！ギリギリまで施工に立ち会っていたもんやから・・・！ところでみなさんは？」

「娘夫婦は、孫連れて婿の実家で初詣、ばあさんは、女同士で御来光を拝んで温泉旅行、もっとも娘たちはもうじき帰って来るけどな！」

「メチャクチャ寂しい正月ですがね！そうか！そうか！わかりますよ！わかる！うん！仕方ないから私がお相手しましょうかね？」

「一人もんのお前に言われとーないわ！そんな事ええから、飲もうや！これが目当てなんやろ？」

「そーなんですよー！毎年いただくこのおせちの豪華なこと、しかも奥さんの手作りなんでしょ！うらやましい！ホントに！エビのお頭付きですからね！奥さんが、お留守なのは残念やな～！私のことを、海外夜遊びガイドみたいに思われとってはいかんので、チャンスがあれば、申し開きをしようかな・・・？と」

「そんな事せんでいい！」

「困った奴やな～！よその家モメさせて何が楽しいんや！婿に言わせると、こんな奴が、スッゴイ経営者らしいがな！」

「そーやろ！そーやろ！ヤッパリ副社長は、見る所をみてますなー！」

「ヤカマシイは、ホントに！ほんでも珍しくヒットらしいで！アンタ、何かええ言を言ってくれたらしいがな！」

「そうなの？」

「何やろ？好きな言葉は、頂く、貰う、タダですがね？」

「なんでやねん！」

「なんやったかな？絶対に質を譲らんかったら、益率を減らして、安売っても大丈夫やとかなんか・・・？」

「ああ！安く売ってもリスク負う覚悟があるなら、質は譲るなでしょ！」

「それや！それ！」

「でもね～！安く売るっていうのも、それはそれで・・・？婿さんに言っといてくださいよ！ほっつき歩いとる道楽じいさんの事なんかマネしないで、自分のスタイルでやりなさいって！」

「当たり前や、年金もらって、給料も真面にとらん様な、ジイサンの真似なんかさせられるか！そんでも最近は、チョクチョク事務所まで行って、教えて貰っとるみたいやな！ありがとうな！ほんで、また今年も懲りずに遠いとこまで行くんか？」

「副社長は、真面目過ぎるのかな～？ネットでは、いろんなお客さんがいますからね～！でも、いいことや無いですか？そのうち自分のスタンスが決まりますよ！私は、この7日の早朝からから西に向かいます。10日には、建て上げがありますから、熊本に行っていますね！今回は、出来るだけ時間をとって、あっち方面のお客さんに、お話しを聞きに行きたいと思っています。」

「無料相談と言うやつをしに行くわけや？アンタ、どうしてそんなに頑張れるんや？」

「そんな事、わかる訳ないでしょう！頭悪いんやから！僕が行って、お客さんが安心するなら、行くでしょ！何か還暦過ぎて、後何年頑張れるかな？なんて思うとね！社長もそうですが、今まで、売り上げや時間に追われて、やってきましたからね！どの位出来るかわかりませんが、やってみたいんですよ！駆け引きも無い！はったりも無い！もっと単純な仕事が！」

「単純に考えた結果が、あの価格表かいな？また敵を増やしとるぞ！このジイサンハ！」

「いいじゃないですか？言いたい奴には言わしておけば！私らは、これしか出来ないんですから、誰かの墓づくりを応援してあげましょうよ！社長、また二人で中国行ったみたいに、インドでもアフリカでもベトナムでも行きませんか？」

「相変わらず気持ちだけは、熱いじいさんやな～！アンタがどうしても一緒に行って欲しいと言うことで、久しぶりに海外研修に出かけるか？そうやな～！インドとアフリカは遠いが、ベトナムは行ってみたいな～」