お彼岸 (おひがん)
「春分の日」は、「自然(しぜん)をたたえ、生物をいつくしむ」日として、「秋分の日」は、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として、国民の祝日に定められていますが、「春分・秋分の日をお中日(おちゅうにち)として、この日をはさんだ前後一週間を言います。
寺院では、彼岸会法要を行い、家庭では、彼岸団子・おはぎ・ぼた餅を作りお仏壇にお供えし、また、お墓参りをしご先祖の供養をします。
彼岸とは、インドのサンスクリット語「パーラミター」の漢訳「到彼岸」の略で、此岸(しがん)すなわち迷いの現実世界から、悟りの理想界、涅槃の世界に至るという意味です。
また彼岸会は、昼夜の時間がほぼ同じになる春・秋分のこの時期に、浄土にあるご先祖をしのび、今日ある自分を育ててくれたことに感謝するとともに、自らも彼岸に到達できるよう、日常生活をあらためて反省して仏道に精進する実践行のひとつです。
余談ですが、「おはぎ」と「ぼた餅」の違いをご存知ですか。
萩の花が咲く頃に行われる秋期彼岸にお供えすることから「おはぎ」、牡丹の花が咲く頃に行われる春期彼岸にお供えすることから「ぼた餅」と言われるそうです。
牡丹(ぼたん)」の花は、大きな花ですから「牡丹餅(ぼたもち)」は大きめに、「萩(はぎ)」は小さな花なので「お萩(はぎ)」は小ぶりに作られるようになりました。
あんこに使われる“あずき”は、古くから悪いものを追(お)いはらう効果(こうか)があるとされてきました。
昔の人々は、自然をくらしの中に上手にとりいれていました。
季節の花を意識して食べ物の呼びかたやかたちを変え、ご先祖さまの供養を行う、こうした風習は、ずっと変わらずに残していきたいものです。